2021年2月10日。村上市飯野にある大洋酒造株式会社さんに訪れました。
今回の取材では、製造についてお話を伺いました!
姉妹店の酒のかどやさんの記事も掲載されているので、
もっと大洋酒造さんのことが知りたい方は、一緒にご覧ください。
今回のお話を聞いて、私はもっと大洋酒造さんが好きになったので、
その魅力をお伝えできるよう、ご紹介します。
目次
水にこだわりあり!地下20mから汲み上げた軟水
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こちら大洋酒造さんに入ってすぐに見える施設です。こちらは常設展示場です。
試飲販売や村上の伝統文化を味わう展示物が見ることができます。
(現在、コロナ禍により試飲販売は休止中です。)
この和水蔵に入ってすぐ右に、地下20mから汲み上げられた地下水を飲むことができる蛇口があります。
このお水が美味しい…!
この地下水は、朝日連峰から流れる三面川の伏流水で、軟水で口当たりがまろやかな水質です。
「軟水」の水の特徴であるミネラル分が少なさは、日本酒造りでは、
やわらかくまろやかな口当たりになりやすいとされています。
このお水を汲みに来た地元の方によると、炊飯や料理に使うと、味がまるっきり変わるとか…。
そんなお水を大洋酒造さんでは、仕込みだけでなく洗米や洗浄など、
あらゆる現場で地下水を贅沢に使っているそうです。うらやましい…。
手作業で洗米!数秒単位で管理する妥協の許さない姿勢
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精米は酒米専門の精米機を持つ業者に委託しています。まずはその届いたお米を洗います(洗米)
酒造り用に精米した米は、水をすぐに吸収してしまいます。
数十秒間、水に浸した時間が長いだけで、その後の作りが全く変わってしまうそう。
洗米は、洗米機を使うこともあるそうですが、
米の状況や種類によって手作業で行うこともあります。
その時には、写真のざるを使い、 数人で一斉に洗米を行います。
均一に浸水がされるように 、タイマーで計測しながら、
洗米の手の動きもなるべく同じにするそうです。
冷たい水に手を入れるだけで厳しいのに、それを周りと同じ速さで
何度も洗米するのは、想像できないほど大変でしょうね…
ベルトコンベア式の蒸米機。これで大量のお米が蒸せます!
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洗米・浸水を経た米は、「蒸米」の作業に入ります。
ムラなく蒸米するために、ベルトコンベア式の連続蒸米機で
50分ほどかけて、蒸気を加えて蒸していきます。
いよいよ製麹。酒造りで最も大切な工程です。
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蒸米が終わったお米は少し冷ましてから、製麹室に運ばれます。
この製麹機に米を平たく並べ、種麹を散布した後、
麹の様子を見ながら、およそ二晩かけて製麹します。
その時、麹菌が活動しやすい温度帯にしてあげることが重要です。
この製麹床は、足の部分に重量計があり、お米の水分量が算出できます。
とはいえ、機械にも限界があるので、蔵人さんたちのチェックは怠りません。
しかし、こうした最新鋭の機械のおかげで、
いつでも安定して美味い日本酒づくりをお手伝いしてくれます。
酒母造り!新潟県産のサーマルタンクを使用しています。
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お次は「酒母」造り。「日本酒のもと」になる部分です。
酒母は酵母( 糖をアルコールに分解する微生物 )を増やす役割を担っています。
酒母造りとは、製法にもよりますが、基本的には
麹と蒸米に少量の酵母と乳酸を入れて、酵母を増やしていくことを指します。
その培養の作業にも温度管理が重要です。
昔は、タンク内を冷やしたり温めたりするのに、
手動で冷水をタンクの周りに流して調整するのが主流でしたが、
大洋酒造さんでは新潟県内で開発された「サーマルタンク」を 導入し、
自動でタンク中の温度を調整させています。
いよいよ大詰め!もろみをつくります。
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酒母ができたら、いよいよ「もろみ」づくり。
酒母に、麹・蒸米・水の3つを3回に分けて加えていきます。
通常は20日程度で、もろみは完成するのですが、
大洋酒造さんでは、あえて時間をかけて、もろみを発酵させます。
むりやり発酵を促すことなく、お酒にもノンストレスな状態を作り出すことが
大洋酒造さんが作り出す味の秘訣のひとつだそうです。
もろみをぎゅと搾ります!
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もろみが完成したら、「上槽(じょうそう)」の作業に入ります。
もろみで溶けなかった麹や蒸米を、アコーディオンのようなじゃばら型の布袋でこしとる作業です。
ちなみに搾った後、布の部分に残るのが酒粕です。
大洋酒造さんではこの大きな「ヤブタ式」と呼ばれる圧搾機を使っています。
圧力をかけすぎると風味が落ちるので、蔵人さんが調整しながら丁寧に搾ります。
写真にはないですが、そのほかにも「槽(ふね)」と呼ばれる伝統的な上槽や
出品酒につかわれる「袋吊り」と呼ばれる上槽も行っています。
その後は、今回は省略してしまいますが、
おりびき・濾過・火入れ・瓶詰の工程を経て、皆さまのもとに届けられます。
大洋酒造さんの魅力は?
1945年に村上税務署管内の14蔵が合併してできた蔵元さんですが、
その凝縮された技術と様々なアイデアが魅力的でした。
販売店限定の「無想」シリーズや、村上地域限定の「紫雲」シリーズなど
それぞれに個性をもたせたブランドを作っています。
味わいも各シリーズで違う方向を持たせていて、
固定概念にとらわれない「挑戦」の姿勢が大洋酒造さんの魅力だと思いました。
しかしながら杜氏さん曰く、
今後は「 一番安い酒を、一番うまい酒に」と意気込んでおり、
「大洋盛 金乃穂」などの普通酒も、さらに進化されるかもしれません。
まだまだ底の知れない大洋酒造さんの、さらなる挑戦の一杯に巡り合えるのを
大洋酒造さんのファンとともに我々一同、楽しみにしています。
酒の松澤で取り扱いの大洋酒造さんのお酒のご紹介
同蔵のブランドイメージとは一線を画す、”進化し続ける商品造り” がコンセプトの「無想」シリーズです。
酒の松澤でも、看板商品といえるほど、お買い求められるお客様が多い商品です!
新潟市内では当店のみで販売している商品です。
新入荷商品
「大洋盛 オシロイ花酵母仕立て」は新潟で唯一花から培養された「花酵母」を使用しています。
「北翔 うすにごり生酒」は冬限定。当店で取り扱う北翔シリーズの中では、例年人気ナンバーワンの商品です。
今回蔵を見学させていただきました大洋酒造の皆様、ありがとうございました。